空気みたいな人

1. いつもの週末

「芳川さん、今、思いついてて！」
「はいはい」

大急ぎで、マンションの駐輪場に自転車を止めて、２階に駆け上がる。
早く、早く！

８畳の小さなワンルーム。
小さなサイドテーブルに、リュックから取り出したノートパソコンを広げて、一気にアイデアを書き込んで。持ち歩いてるクロッキー帳にも、アプリの起動画面の構成や、キャラクターのラフ、キャラクターの設定などを書き殴る。

ちらばっていたパズルのピースが組み上がって、産みの苦しみが、一気に形になる瞬間。