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「ちょっと、待って・・・ンッ」
「待てないよ」
パーティーが終わって芳川さんの車で私のマンションに到着。
なんとなく暗黙のルールで私のマンションで会う事になっている金曜日。
でも、実際には毎週ってわけにもいかないから、2人きりで会う時間は限られていて。
車中で〈新しい大型タイアップ企画が実現しそう!〉とニコニコ話していた芳川さん。
上機嫌だなぁ、と、飲めないけれど雰囲気でほろ酔い気分になっていた私も、ニコニコして聞いていた。
手をつないで部屋に入ると、いきなりお姫様だっこでソファーベッドに運びこまれた。
「ちょっと、靴・・・」
「ダーメ。俺が脱がせる」
「ンッ・・」
部屋に入るまでは、いつもの芳川さんだったのに。
ヒールのところだけ真っ赤なピンヒール。
ベッドに降ろしつつ、芳川さんの手が足をなぞりながら、下におりて。
左、右、と、靴を脱がせてベッド下の、読み終わった雑誌が積まれた上に。
荒々しいキスで口をふさがれながら〈あ・・・ちゃんと置く場所、気をつかってくれてるんだ〉と、妙におかしくなって、少し笑いそうになる。でも、靴を脱がせた後の芳川さんは、さらにヒートアップして。
「なんで、会社であんな色っぽいカッコに着替えちゃうの?
会社戻ったら、男どもが騒いでたよ。もう」
「だって、たまには・・・」
いつも、じれったいほど丁寧に愛撫してくれる芳川さんが、今日はいつもと違っていて。
ヤキモチ・・・?
荒っぽく、私を攻め立てる。
「まだだよ。まだダメだよ」
「ァンッ」
つながって、お互いの体温を交換する。
この時だけは、仕事も会社も関係ない、ただの男と女で。
不安も悩みも、全部頭から追い出して、真っ白になれる。
「きれいだ・・・」
意識が遠のきそうになりつつ、耳元でささやく甘い声に反応する。
〈も・・・ダメっ・・・〉
声にならない。
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