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「ハルちゃん……リュウちゃんが拗ねちゃうから、食べちゃだめ」 翡翠が苦笑して美晴に言った。 「うーん……じゃあひとつだけ…………」 「だから、ひとつもダメなの!」 美晴と翡翠は、会話が成り立っていない。 まぁこれも昔から変わっていない光景だがな…… そうこうしている内に、龍太が眠っている墓の前まで来た俺たち。 墓石には“望月家之墓”と刻まれている。 龍太の名字は『風見』…………家族がいなかった龍太は、従兄弟である歌奈の家の墓に入った。 無縁仏という話もあったが、歌奈が引き取りを申し出たのだ。 まぁ実際、龍太と歌奈はほとんど兄妹のような関係だったしな…………
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