6人が本棚に入れています
本棚に追加
後条「ばあちゃん!今日は休みだって言わなかったっけか?」
蒼月「どうも、お婆ちゃん。」
お婆ちゃん「すまんの、この人がアオさんに用事があるってのぅ、一緒に待っておったんじゃ。」
蒼月「俺に用事?」
怪訝そうに女性の顔を見る蒼月、その顔には、どこか見覚えがあった。
女性「お久しぶりです。蒼月坊っちゃん。もしかして.....お忘れになってしまったのですか?」
不安そうにたずねる女性、地味にみえて素朴な美貌を備えている。
蒼月「もしかして...。」
必死に記憶の糸を手繰り寄せる蒼月、父親の強制を受けてきた家出する前の辛い記憶を突き抜けた先に彼女は居た。
蒼月「奈々子さん!?...なんで此処に...。」
ハチコ「ご主人様、知り合いなの?」
蒼月「あぁ、昔10年前俺の教育係だったメイドさん、そして俺に自分自身の意志を持てって教えてくれた人...でもその為に親父の逆鱗に触れて辛い想いをさせてしまったんだ。ごめん奈々子さん、あの時の俺は無力だったから...。」
奈々子「いいえ、覚えていて下さっただけで私は幸せです。ご立派に成長なされましたね。」
彼女は目に涙を浮かべ嬉しそうに蒼月を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!