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「わぁ、すごい人…」
ゆき乃と豊川が浅草神社を訪れると、神霊入れの儀まではまだ時間があるにも係わらず、社殿前は多くの人で賑わっていた。
社殿横の神輿庫は解放されており、重厚な三基の本神輿が堂々たる姿を晒している。
神霊入れの儀とは、社殿の御神霊(おみたま)を神輿へ移す儀式である。
神霊が宿った神輿を氏子達が担いで、各地区を練り歩く事で神に各地区をご覧頂くのだ。
三社祭は神輿の担ぎ方も江戸っ子らしく威勢が良い。
荒々しく神輿を揺らすのは、神の霊を揺り動かして活性化させる魂振りという意味がある。
そして、神輿を激しく振り動かすことによって神の霊威を高め、豊作や大漁、疫病の退散を願うのだ。
浅草神社の本神輿は三基。
一之宮には土師真中知命、二之宮には桧前浜成命、三之宮には桧前竹成命の祭神の御神霊をそれぞれ移す。
神霊入れの儀が終わるといよいよ江戸三大祭である三社祭が始まるのだ。
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