神霊入れの儀

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ゆき乃と豊川は人混みをかき分け、社務所にたどり着いた。 「ゆき乃さん!先生!」 巫女姿の美津が二人を迎える。 「美津さん、こんにちは!あの…藤原さんから連絡が来て…」 ゆき乃がそこまで言うと、美津は「こちらへ」と二人を案内した。 ガラ… 「え…」 引き戸を開けた部屋には、事務机が数台並べられ、その机の上に光流があぐらをかいて座っている。 「藤原くん。頭、可愛いですね」 神主の狩衣姿に前髪をちょこんと束ねた光流を見て、豊川が言った。 「突っ込むとこソコじゃないでしょ、センセ…」 パン! 光流は自分の膝を叩いた。 「藤原さん、これは一体…」 「伊藤安次郎さんのご子孫が『浅草神社に御礼をしろ』と何度も夢枕で言われたらしくてさ」 「御礼がこの机なんですか?」 ゆき乃は部屋中の机を眺めた。 「そのご子孫が学習デスクとか事務用品で有名なイトーキの会長だったんだよ」 「え…」 ♪イトーキ学習デスク ゆき乃の頭の中でCMの曲が流れた。
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