神霊入れの儀

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光流は封書を見せた。 達筆な文字で切々と書かれている。 -略- 伊藤安次郎なる人物が毎夜、夢枕に立ち、告げるのです。 「私は、お前の先祖である。伊藤内膳の倅で次男の安次郎と云ふ。永き事、帰ること叶わず、この度、故郷に戻れたるは江戸浅草の浅草神社神主に寄るもの成り。私に成り代わり、謝礼の御品と御玉串料を奉納せよ」 あまりにも頻繁に同じ夢を見るために家系図を調べてみたところ、江戸時代に安次郎なる次男が行方知れずとの記録がありました。 これも何かのご縁と思い、弊社の商品と御玉串料を奉納させて頂きます。 イトーキ株式会社 会長 伊藤喜兵衛 「…伊藤安次郎さんて、こんなキャラでした?」 ゆき乃は、おどおどとして泣いてばかりいる伊藤安次郎を思い出した。 「ハハ、確かに!内弁慶なんだろ?」 光流は機嫌が良い。
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