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♪テンテケテンテン…
ゆき乃の携帯が陽気な曲を奏でる。
「わ!すみません!」
ゆき乃は慌てて携帯を手に取った。
「いいですよ?電話、出てください」
そう言って、豊川は微笑む。
長机の上にはノートや文献と共に葛の葉の巻物が広げられている。
今は図書準備室で巻物の解読中だ。
葛の葉が消える前に残したという巻物は古文書になっており、ゆき乃には解読が必要であった。
古文の教師である豊川の協力を得て、今日は二度目の勉強会になる。
「じゃあ、電話取ります。すみません」
画面には藤原光流の文字。
(えぇ…なんだろう?)
光流の突然の電話は妖怪出現を予感させる。
ピッ…
「もしもし…」
「うぉい!やべーぞ!」
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