1013人が本棚に入れています
本棚に追加
~Side太一~
「タイチ!お父さんはもう闘えないわ!」
「・・・・・・・・あ・・・・・僕・・・」
リリムの声が耳に入ると、今まで脳が知覚しなかった情報が一気に流れこんでくる。
ひび割れた地面、ぼろ雑巾のような姿のセイドさん、僅かに匂う血の臭い。
「あ・・・・・僕・・・・・・また・・・・・」
カッとなってしまった自分に後悔して、その場に座り込む。
「タイチ!怪我はない?」
結界を解除し、近寄ってきたリリムが僕に声をかける。
「僕は・・・・・ね・・・セイドさん死んでないよね?」
ぴくりとも動いていなかったセイドさんの姿を思い出し、人を殺めてしまったかもしれない恐怖にかられる。
「お父さん?心配ないわ。しぶとさだけは天下一なの。それに結界が解除されたから元に戻ってるわ」
「え?それってどういうこと?」
何故結界が解除されると元に戻るの?リリムに詳しく聞こうとするが、彼女は笑顔でセイドさんが倒れている方を指差し、見るよう促す。
最初のコメントを投稿しよう!