眼鏡と青春の対立

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しかし誰も答えてくれない。 ただ曖昧に顔を見合わせてこちらを見るだけだ。  ちょっと待て、俺は呼ばれたから来たのに無視はひどいのではないだろうか?   「呼ばれたからきたんですが、用がないなら帰らしてもらいますよ」  そういって帰ろうとするとさっきの先輩が肩に手を置いて話しかけてくる。 「まあまあ実は呼んだのは僕なんだよ、どうぞ座って……」  そういって入り口横にあったイスを持ってきて俺の前に置く。 仕方が無いのでその椅子に座る。  俺をイスに座らせると、先輩は窓際に行き背中を見せて黙り込む。  他の生徒達も何も離さずにじっと先輩の背中を見つめているだけだ。 その状態のままたっぷり数分間黙り込んでいる。  「あの……用件は……?」  沈黙に耐え切れなくなって俺が話しかけると、それを手で遮って先輩はこちらを見て唐突に切り出す。 「彼女にふさわしい人は誰だと思う?」
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