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#1プロローグ
この刹那、流れ行く時間を止める事が叶うならば、何もかもを投げ打ってでも私に差し出されたこの強かで強靭な腕(かいな)に身を委ねていただろう。それが例え罪深く、我が故国の掟に背こうとも、愛して止まないこの方の手を取り幾重にも重なる未来を放棄してでも今、私は幸せだと思う一瞬を手にしたかった。
欺瞞、酔狂。自己満足。多くの単語の羅列が頭を過ぎっても、必要なのは、ただ貴方一人。しかし現実を突きつけられて私は結局自らの保身と、国の名誉によりそれを切り捨てた。
それは、緑豊かな大地を納める大陸フォルティリゼの皇子アルベールと、煌きの海底都市リュウールの皇女ミレーヌの哀しくも美しい愛の物語。
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