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この世界はたった一つの大陸フォルテリゼと、海底都市リュウールの二つで構成されている至って単純な惑星(ほし)である。が故に、固執する固定概念と言うものは、この古代都市において存在し、且つ、顕著であった。
先ず一つに、今の大陸のフォルテリゼは、広い領土を有してはいるもののその国土の五分の三の民族は遊牧民として国に登録されている。そして、国として成り立つまでの戦乱の世は、恒星に対して1回転を一まとめにするならば、既に千回回っていると言う換算であり、そう、私達の住んでいる地球に置き換えるならば、10世紀。その間、今の緑の大地を思い起こされる大陸とは思えない灰色の時代と争いは続いた。
しかし、ここ1世紀というもののその争いの火種も随分と落ち着いてきていた。
その理由として挙げられる要因は、海底都市である、リュウールとの国交が始まったということであろう。
それまで、リュウールという国を知り得る者は誰一人として居なかった。それは、リュウールの民が、海底から地上という外の世界を見ようとしなかった為であったし、大陸フォルテリゼの民も、海の中で生息する民と言うものを知り得なかったからであった。
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