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風魔流忍術学校 与四郎先輩へ
僕、好きな人ができました。
泣き虫で、甘えん坊で、笑った顔が可愛くて、時に僕を守ってくれる姿は比べ物にならないくらいかっこよくて。
いつしか、一生隣を歩いていきたいって、思うようになったんです。
でも、相手は凄く鈍感で、見向きもしてくれません。
告白した方がいいんでしょうか、お返事ください。
忍術学園 山村喜三太より
「書いてはみたものの…何て返ってくるか、怖い!!」
長屋の自室で何やら机に向かっているのは、金吾と同室の喜三太だった。
自分に好きな人ができた。しかも、それが泣き虫で、甘えん坊で、笑った顔が可愛くて、時に自分を守ってくれる姿は比べ物にならないくらいかっこいい、と書いてしまった限り、答えはひとつ。
与四郎先輩にも知られてしまうことが、恥ずかしいような、ひとりでも早く認めてほしいようなわからない状態だ。
「あーん、どーしよー」
「ん?なんか悩んでるね、相談に乗ろうか?」
「!?」
障子の前に立っていたのは、同室の金吾だった。
彼は凄く鈍感で、物事に鈍い性格だ。
「う゛…大丈夫だよ~、あ、庄左ヱ門のところに行って来る~」
「あ、行っちゃった…」
「はーん、なるほどねー」
庄左ヱ門は目を細め、ニヤニヤしている。
なんていうか、楽しんでいるように見える。
「コクった方がいいの?」
あまりにも喜三太が真剣なので、少しからかってみたくなった。そこで。
「やめておいた方がいいかもね」
この答えを出した。
これなら答えにくかろう。
「う゛…」
庄左ヱ門の思った通り、喜三太は答えに迷っている。なんと答えればいいのか。
「何してんの、庄左ヱ門」
庄左ヱ門が楽しんでいると、ガラリと障子が開き突如現れたのが、世話焼きの伊助だった。
庄左ヱ門は身を構え、戦闘体勢に入っている。今にも夫婦喧嘩(同居人との戦い)が始まろうとしているのだ。
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