2、乗り込む女、嫌がらせ男

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「...おい、聞こえてるって」 「いいさ、別に。ワザと聞こえるように言ってやってるんだから」 「流(ながれ)は本当にそういうとこ、キツイよ」 「そう?俺は自分に正直なだけだ」 「まぁ、そんな流も俺は羨ましくも思うが...明らかにあの子、こっち見てるんだけど...いや、ありゃ睨んでるな...」 「知るか」 また、鼻で笑いやがった! ムカツク! ワザとにしても、度合いってのがあるでしょ。 一緒にいる連れの男が困惑してる事すらも、コイツは気に止めないのか。 自分に正直ってね、オッサンが小学生みたいな事を言ってんじゃないよ! あんたが、ガキそのもの! 私は相当怒ってますよ。 怒りを我慢するあまり、身体中がプルプル震えてるよ。 「ほら、あれ絶対怒ってるし...」 「逆に面白いじゃん。怒らした後の化けの皮がどんなもんか、俺は知りたいね~」 「流、それは言い過ぎ。しかし、おまえに目を付けられるとは何とも気の毒な...」 「いいんだよ、あぁいう女にはこれくらい言ったって」 「ただの喫茶店の女の子だろ?もうそれ以上はチョッカイだすなよ」 「誰がチョッカイだ、あんなクソガキ」 「店、出るぞ」 連れの男は、気まずそうに私の前を通り過ぎた。 アイツは...あそこまで言っといて知らんふり。 そりゃあ、気まずいでしょ。 だって、下手したらもう普通に来れないよ。 あんな気まずい思いをよくも自分の連れにさせて、ボロカス私に言いたい事を言ってくれちゃうよね。 はぁ~ん?って感じ。 完全に頭にきた。 絶対に許せない。 今夜、私は乗り込む。 確実にアイツの会社へと、乗り込む。 そして、一発...いや、二、三発は殴る。 二度とうちの店に来るな!とも、言ってやる。 私は窓からあの男が去ったのを確認して、テーブルへと片付けに行った。 二枚のコースターが重ねてあったが、何もそこには書かれていなかった。 でも、確かにボールペンを取り出して何か書いてたのに。 まさか、ワザと書いてたふり? 何、アイツ! 有り得ない、この新しい嫌がらせ! どこまでも、本気でムカツク!
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