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「...おい、聞こえてるって」
「いいさ、別に。ワザと聞こえるように言ってやってるんだから」
「流(ながれ)は本当にそういうとこ、キツイよ」
「そう?俺は自分に正直なだけだ」
「まぁ、そんな流も俺は羨ましくも思うが...明らかにあの子、こっち見てるんだけど...いや、ありゃ睨んでるな...」
「知るか」
また、鼻で笑いやがった!
ムカツク!
ワザとにしても、度合いってのがあるでしょ。
一緒にいる連れの男が困惑してる事すらも、コイツは気に止めないのか。
自分に正直ってね、オッサンが小学生みたいな事を言ってんじゃないよ!
あんたが、ガキそのもの!
私は相当怒ってますよ。
怒りを我慢するあまり、身体中がプルプル震えてるよ。
「ほら、あれ絶対怒ってるし...」
「逆に面白いじゃん。怒らした後の化けの皮がどんなもんか、俺は知りたいね~」
「流、それは言い過ぎ。しかし、おまえに目を付けられるとは何とも気の毒な...」
「いいんだよ、あぁいう女にはこれくらい言ったって」
「ただの喫茶店の女の子だろ?もうそれ以上はチョッカイだすなよ」
「誰がチョッカイだ、あんなクソガキ」
「店、出るぞ」
連れの男は、気まずそうに私の前を通り過ぎた。
アイツは...あそこまで言っといて知らんふり。
そりゃあ、気まずいでしょ。
だって、下手したらもう普通に来れないよ。
あんな気まずい思いをよくも自分の連れにさせて、ボロカス私に言いたい事を言ってくれちゃうよね。
はぁ~ん?って感じ。
完全に頭にきた。
絶対に許せない。
今夜、私は乗り込む。
確実にアイツの会社へと、乗り込む。
そして、一発...いや、二、三発は殴る。
二度とうちの店に来るな!とも、言ってやる。
私は窓からあの男が去ったのを確認して、テーブルへと片付けに行った。
二枚のコースターが重ねてあったが、何もそこには書かれていなかった。
でも、確かにボールペンを取り出して何か書いてたのに。
まさか、ワザと書いてたふり?
何、アイツ!
有り得ない、この新しい嫌がらせ!
どこまでも、本気でムカツク!
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