2、乗り込む女、嫌がらせ男

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私は花屋のバイトを急遽夕方までで交代してもらって、19時頃までアイツがいる○○製作所の前で待っていた。 車だからって見逃さない。 私の裸眼1.5の視力をなめるなよ。 動体視力だっていいんだから。 嫌な奴の顔は絶対、忘れない。 しかし待てども待てども、20時になっても現れない。 まさか、私は見逃したか...。 私は待ちくたびれた表情で、門の前の隅っこで座りこんでいると、 「あれ、喫茶店の女の子」 あっ、今朝のアイツと一緒にいたお兄さん。 優しい人には、同じ30代でもお兄さん。 アイツはオッサンで十分でしょ。 「こんばんわ、どうしたの?もしかして流を待ってるの?」 「はい。あの人、ナガレって言う名前なんですか?」 「そうだよ、杉原 流(すぎはら ながれ) だけど。用事かな?」 杉原 流...。 ケッ、変な名前。 「いえ、あの今朝の事で...」 「そうだよね、今朝はごめんね。怒ってるよね。でも、あれが流そのものだから。本当にごめんね」 あれが、あんな凶器的な性格がアイツそのもの? じゃあ、全然人間としてダメじゃないの。 「もうすぐ出てくると思うけど、一応メールしとくから、もう少し待ってるといいよ。流は自転車だから、簡単に捕まるはずだから。本当に今朝は申し訳なかったよ」 「いえ、お兄さんが謝る事じゃないし...」 「ただ、君が思ってるような人間ではないからさ、許してやってよ。また、美味しいコーヒー飲みに行くからね」 「はい、有り難うございます」 優しいお兄さんは、手を振り爽やかに立ち去った。 ふぁ~っ、優しい。 何て優しい人なんだろう。 何故にあんな優しい人と一緒に居ても、アイツは最悪なんだろうか。 っていうか、杉原 流なんかと一緒にいちゃダメ! もう少しだけ待って、来なかったら帰ろっと。 私は座って、うつむいて再び一時間近くボーッと待っていた。 自転車が、ブレーキをたてる音がした。 見上げた先には、 「なんだ、おまえ。まだ居たのか?」
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