2、乗り込む女、嫌がらせ男

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杉原 流も、ずっと強く掴んでいた私の腕を勢いよく離した。 「明日も精々イタブッてやるよ、クソガキ!」 何か、自分のさわりを知られたからなのか。 隠すかのように捨てセリフを吐いて、自転車に股がり、急いで私の前から立ち去った。 私は痛くなった腕を擦りながら、その後ろ姿を見ていた。 杉原 流。 一体、私が何をした。 意味分かんない奴。 しかしながら、翌朝もコイツは相変わらず一人で喫茶店に来て、堂々と当たり前のように座っている。 コイツには近寄らないようにして避けているのに。 コーヒーを入れて、運んでやったのは今日は私。 コイツのタイミングに腹が立つ。 一切無視。 言葉すらも私には掛けてこない。 だから、余計にまた私は腹が立つ。 帰った後のアイツのテーブルにはまた置いてあった。 「マズイ」 の、一言が書かれたコースター。 私は深く溜め息をついて、コースターをエプロンのポケットにしまう。 捨てればいいのに...。 私もバカみたい。
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