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近頃の私は何かがおかしい。
動きが、感情が、起伏が激しい。
喫茶店ではグラスを落として割ったり、花屋ではハサミで指を切ったり、何かがおかしい。
「ご注文はお決まりですか?」
私のひきつる笑顔の先は、やっぱりコイツ。
杉原 流。
あんたのお望み通りの嘘臭い笑顔をとくと見たらいい。
なのに、コイツってば一切私を見ないで朝刊広げて、長い邪魔な足をほおり出して、ボソッと私にしか聞こえない声で言う。
「いつものに、決まってんだろ...」
本当にコイツ。何様なんだ。
私に対してのこの態度、腹立つ。
私は口を尖らせて、失礼な流のアイスコーヒーを入れて、席へと運ぶ。
「お待たせしました」
口唇にタバコを加えて、相変わらず一切無視。
ありがとうも言えないなんて、性格とことんネジ曲がってるねコイツは。
あぁ、感じ悪い。
うっとうしい。
無駄にイライラして、アイツの出す重い空気に毎朝呼吸するのが苦しくてしかたない。
ペースが乱れまくる。
何を考えているんだ。
私に何を仕掛けようとしているんだ。
次はどんな嫌がらせをされるんだ。
確かなものが、見えない。
こうしている間にも、流は何かを企んでいるんだ。
最悪...。
私は流の背中を見つめながら、首を傾げた。
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