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「おい、こら、ねぇちゃん!俺の頼んだコーヒーはいつ届くんだ!いつまで待たせるんだ!」
えっ?わ、私?
私の視界から流を遮るように、ヒゲヅラの小汚ないオッサンが私に吠えた。
オッサンのコーヒー?
やばい、忘れてた。
「もっ、申し訳ありません!只今、お持ち致します!」
「いらん!俺は帰る!こんな客のオーダー忘れる店には二度と来ない!」
私は周囲の客が注目する中で、何度も頭を下げて謝ったのだが、オッサンは相当なご立腹で、文句を言いながら帰ってしまった。
どうしよう...久しぶりに大きなミスしたよ。
恥ずかしい...みんなの前で一人で怒鳴られて。
流に、弱味握られた。
カッコ悪い。
私は流をそっと見ると、アイツは全然気にもしないで朝刊を読んでいる。
私は呆然と立ち尽くしていると、すかさず学生のバイト君が声を掛けてくれた。
「笑さん、ドンマイ。少し奥で一呼吸して落ち着いたら戻っておいでよ」
「う、うん...ごめんね」
私はびっくりして、膝や指が震えてしまった。
「大丈夫?平気?」
「うん、迷惑かけてごめんね」
何やってんだか、私。
震える指先を握りながら、私は奥へと下がった。
うずくまりながら一人で色々考える。
どうして、順番飛ばしちゃったんだろう。
流が店に来た直前に、オッサンの注文聞いたから...、流のコーヒー注文とって、運んで...。
私、やっぱり待たせてたんだ。
もぉぉっ!
「笑ちゃん、どうしたの?落ち着ついた?」
ママが、声を掛けてくれた。
「ママ、ごめんなさい。私、大失敗しちゃったよ、どうしよう...」
「笑ちゃん、失敗なんて商売やってたら当たり前なんだから、気にしないでいいのよ。ただ、最近の笑ちゃんは何だか様子がおかしい。気が付かない?具合でも悪いの?」
「そうかな、どうして?」
「顔色も良くないし、余裕がない感じがする。疲れてるんじゃない?ほら、嫌がらせの一件もあるし。少しお休みでもする?」
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