3、落ち着く場所

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「おい、こら、ねぇちゃん!俺の頼んだコーヒーはいつ届くんだ!いつまで待たせるんだ!」 えっ?わ、私? 私の視界から流を遮るように、ヒゲヅラの小汚ないオッサンが私に吠えた。 オッサンのコーヒー? やばい、忘れてた。 「もっ、申し訳ありません!只今、お持ち致します!」 「いらん!俺は帰る!こんな客のオーダー忘れる店には二度と来ない!」 私は周囲の客が注目する中で、何度も頭を下げて謝ったのだが、オッサンは相当なご立腹で、文句を言いながら帰ってしまった。 どうしよう...久しぶりに大きなミスしたよ。 恥ずかしい...みんなの前で一人で怒鳴られて。 流に、弱味握られた。 カッコ悪い。 私は流をそっと見ると、アイツは全然気にもしないで朝刊を読んでいる。 私は呆然と立ち尽くしていると、すかさず学生のバイト君が声を掛けてくれた。 「笑さん、ドンマイ。少し奥で一呼吸して落ち着いたら戻っておいでよ」 「う、うん...ごめんね」 私はびっくりして、膝や指が震えてしまった。 「大丈夫?平気?」 「うん、迷惑かけてごめんね」 何やってんだか、私。 震える指先を握りながら、私は奥へと下がった。 うずくまりながら一人で色々考える。 どうして、順番飛ばしちゃったんだろう。 流が店に来た直前に、オッサンの注文聞いたから...、流のコーヒー注文とって、運んで...。 私、やっぱり待たせてたんだ。 もぉぉっ! 「笑ちゃん、どうしたの?落ち着ついた?」 ママが、声を掛けてくれた。 「ママ、ごめんなさい。私、大失敗しちゃったよ、どうしよう...」 「笑ちゃん、失敗なんて商売やってたら当たり前なんだから、気にしないでいいのよ。ただ、最近の笑ちゃんは何だか様子がおかしい。気が付かない?具合でも悪いの?」 「そうかな、どうして?」 「顔色も良くないし、余裕がない感じがする。疲れてるんじゃない?ほら、嫌がらせの一件もあるし。少しお休みでもする?」
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