3、落ち着く場所

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再び辿り着いた場所は、何故だか流の会社。 そこで、私が立ち止まったのは無意識。 だから、深い意味はない。 もし、意味があるなら...。 こんな遅い時間に流が現れるわけない。 なのに、その場をしばらく離れられない自分がいた。 全部、アイツのせいじゃん。 自分のペース、どこまで乱してくれるわけ。 やだやだ、大嫌いなアイツのことなんて、もう金輪際考えたくない。 どうでもいいよ、あんな奴。 もう帰ろう。 私は自転車を走らせていると、やっぱり今日の出来事を思い出して、涙が出て運転できなくなってしまった。 ダメだ、私...。 自転車を引いて、近くの公園で結局立ち往生。 ここなら、誰もこない。 声を出して泣いても不自然じゃない。 何で私ばっかり? バカみたい、私。 こんなに頑張ってるのに。 もう、やだ私。 あの朝のオッサンもあんなに怒鳴らなくたっていいじゃない。 花屋だって、配置くらい社員の店長がやってよ。 私はバイトなんだから...。 逆ギレしながらも、めげて泣いちゃう私。 そりゃ、泣くよ...。 そんな自問自答を繰り返して、慰めていると、 薄暗い公園で、背後から足音が近寄ってくる。 やばい、そろそろ撤収しなきゃ。 変質者かも知れないから。 涙を拭いていると、思ったよりも早く腕を掴まれた。 「やっぱり、おまえか」 ウゲッ! 今、一番会いたくない奴。 ジャージ姿が私服なの?ダサイ! 流は、八の字眉毛で言う。 「こんな遅い時間にまた一人か。よっぽど危ない目におまえは合いたいんだな」 「そんな訳ないでしょ、あっち行ってよ、どっか行ってよ」 「俺はいつもこの時間に一人でここにタバコを吸いに来ているから、残念だがおまえの方がどっか行けよ」 コイツは、何でこういう言い方しかできないの。 毒々しいというか、ストレート過ぎるのよ言葉が。 私は流の腕を振り払った。 拒絶する私に流は深く溜め息をつく。
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