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どれくらい流の胸の中に居たのだろう。
時間の流れも、今ある空間も忘れてしまうくらい、不思議と心が安らいだ。
何をやってもうまくいかない。
人からどう思われて、自分がどうしたいのか。
怒りや悔しさ、憎らしさだとか。
自分の溜め込んでいた黒いモノが流に話した事で、オセロのように全てが白いモノにひっくり返されて、もうクヨクヨしてた悩みなんてどうでもよく思えた。
だって、この中凄く心地がいいんだもの。
何だか調度良い体温で、安心するんだもの。
くるまっていたいぐらい、落ち着いちゃうんだもん。
もう少しだけ、もう少しだけ...って、布団から出られない感じ。
完全に納まっちゃってるよ。
そんな私の髪を、流が柔らかい手付きでそっと触れるから目を開けて流を見た。
その時だった。
柔らかい口唇が、私の口唇に軽く重なった。
私は思わず驚いた表情をしてしまった。
流の視線は私の口唇をまだ見ている。
突然の流のキス。
ゆっくりと流の視線が上がってきて、私と視線がぶつかった時に、急激に私は身体全体でドキッとした。
やばい...。
この感覚...好きになる...。
ニコリと笑いもしないで、じっくりと無表情で見つめる流。
やだ、何コイツ。
何で、そんな目で見るの?
早く視線を逸らしてくれなきゃ、私が逸らせないじゃない。
変にドキドキしてるのを、バレないように私は必死に隠していた。
キスされて見つめられて、次は何をしようと企んでいるんだ?
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