1、喫茶店の女、感じの悪い男

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午後15時からの花屋でのアルバイト。 もう、半年は経つかな。 アレンジや花束だって一人で作れちゃう。 お花達に囲まれて、私は花屋の可愛いイメージを崩さないように、笑顔でブリッコ気味にお客さんに声をかける。 「いらっしゃいませ、お花いかがですか?」 私がバラのトゲを処理していると、子どもを抱えた女性が、ジッと私を見つめていた。 あれっ、誰だっけ? 知らない...見たことないお客さんだ。 「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」 その女性は私の持っているバラを指差して、 「それ一本下さい」 「あっ、これまだトゲの処理してないから、今すぐ取りますので少々お待ち下さい」 私は慌ててトゲを取り、待たせたお詫びで、包みにリボンを付けてあげた。 私と同じ年くらいかな。 私とは全然違って大人しそうな女性。 ずっと私の手元を見ている。 そんな気がして、私はチラリと見ると、視線は私自身に向けられていた。 「お待たせしました。お会計300円になります」 私は笑顔で言うのだか、女性は子どもを抱えているからか、お財布を出す手元がおぼつかないでいる。 「あの、ゆっくりで大丈夫ですよ」 「えぇ、ありがとう...じゃあ、これ」 私はお金を受け取って、見送ろうとした時だった。 「...子どもがいると、手惑うことばかりで...でも、あなたみたいな人には所詮分からない悩みよね...」 えっ?... 「あ、有り難うございました」 私は、頭を下げて普段通り笑顔で見送った。 今の捨て台詞ってイヤミか。 時々接客してて思う。 どうして、見知るぬ相手に余計な一言を言って帰るんだろうって。 そういうことされると、残された私は色々深く考え混んじゃうよ。 何があの人にあったんだろうって...。 そのあとは、何だか自分の気が重くってひたすら早く帰りたい一心で仕事をした。
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