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そしてまた朝がやってきた。
慌ただしく時間に追われる喫茶店内。
「笑ちゃん、3番さん、アイスね!」
ママの一声が店内に響く。
「了解ッス!」
テキパキ、ガツガツ働く私にママは以前から、もっとここで長く働いてくれたら助かるのに、と言われているのが。
何せ意外と掛け持ちバイトが、気持ちを切り替えられるから止められないってのがあるんだよね。
「笑さん、ちょっと...見て、アレ...」
「何?」
小声で店の奥に呼び出したのは、同じモーニングタイムでバイトする大学生の男の子。
「窓際の一番隅に座ってる客、何か今書いてると思わない?」
「どこよ、どれよ」
「あそこの黒髪の長い足、ほおり出してる作業服のオッサン」
「あっ、...アイツ!」
「今、胸元のポケットにボールペンしまったでしょ?明らかに不審者だよ」
ムムム、ムカツク!
アイツか、この私に嫌がらせしてくる張本人は。
「私が会計する!」
「いいよ、俺が会計するから」
「何でよ!」
「ほらほら、スマイル~☆笑さんはとりあえず、テーブルを片付けて見ておいでよ」
バイトの男の子は、私の肩を軽く揉んで、その男が席から離れたと同時に会計へと向かった。
私はそのタイミングで、テーブルへと向かって見ると...やっぱりね。
『マズイ』
書いてあるじゃないの!
一体何なのよ!
頭が狂ってる!
営業妨害も甚だしい!
こうやって自分の鬱憤張らしで人の店に嫌がらせする奴は、本当に許せない!
よくも、平気な顔して生活してられるよね!
うちのコーヒーを毎朝図々しくすすりながら『マズイ』だなんて!
マズイなら!
よその店行け!
ホトトギス!
私はポケットにコースターをしまって、窓の外を見ると、嫌がらせ男の後ろ姿があった。
今、店を飛び出して
「意味分かんないんですけどぉ!」
って言ってやりたい。
っていうか、行く!
私は感情のまま、喫茶店の出入口に足を進めた。
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