1、喫茶店の女、感じの悪い男

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そしてまた朝がやってきた。 慌ただしく時間に追われる喫茶店内。 「笑ちゃん、3番さん、アイスね!」 ママの一声が店内に響く。 「了解ッス!」 テキパキ、ガツガツ働く私にママは以前から、もっとここで長く働いてくれたら助かるのに、と言われているのが。 何せ意外と掛け持ちバイトが、気持ちを切り替えられるから止められないってのがあるんだよね。 「笑さん、ちょっと...見て、アレ...」 「何?」 小声で店の奥に呼び出したのは、同じモーニングタイムでバイトする大学生の男の子。 「窓際の一番隅に座ってる客、何か今書いてると思わない?」 「どこよ、どれよ」 「あそこの黒髪の長い足、ほおり出してる作業服のオッサン」 「あっ、...アイツ!」 「今、胸元のポケットにボールペンしまったでしょ?明らかに不審者だよ」 ムムム、ムカツク! アイツか、この私に嫌がらせしてくる張本人は。 「私が会計する!」 「いいよ、俺が会計するから」 「何でよ!」 「ほらほら、スマイル~☆笑さんはとりあえず、テーブルを片付けて見ておいでよ」 バイトの男の子は、私の肩を軽く揉んで、その男が席から離れたと同時に会計へと向かった。 私はそのタイミングで、テーブルへと向かって見ると...やっぱりね。 『マズイ』 書いてあるじゃないの! 一体何なのよ! 頭が狂ってる! 営業妨害も甚だしい! こうやって自分の鬱憤張らしで人の店に嫌がらせする奴は、本当に許せない! よくも、平気な顔して生活してられるよね! うちのコーヒーを毎朝図々しくすすりながら『マズイ』だなんて! マズイなら! よその店行け! ホトトギス! 私はポケットにコースターをしまって、窓の外を見ると、嫌がらせ男の後ろ姿があった。 今、店を飛び出して 「意味分かんないんですけどぉ!」 って言ってやりたい。 っていうか、行く! 私は感情のまま、喫茶店の出入口に足を進めた。
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