1、喫茶店の女、感じの悪い男

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「はい、ストップ」 「もう、止めないでよ」 「我慢して、よく聞いて。あのオッサン、作業服に○○製作所って刺繍が付いてた。その会社この近くにあるから間違いないよ」 「マジ?...待ち伏せして乗り込もうかな」 「ダメだよ、笑さんは女の子なんだから。笑さんのストーカーかも知れないよ、危険だよ」 女の子と若い子に言われて、心配してくれるのは誠に嬉しいけれど。 危険を恐れて何とする! 「とにかく、今は相手の目的が明るみになるまでは動かない方がいい。思うツボにハマらないように平常心だよ。何かあったら俺があんなオッサン負かしてやるからさ」 「う、うん...ありがとう、そうするわ」 この子の優しさに、私はうなずくしかなかった。 と、返事をしながらも○○製作所に来てしまった私。 花屋のバイトを終えて、こんな遅い時間に居るわけないだろうけど、来てしまった。 私は自転車から降りて、会社の門の前に仁王立ちをしていた。 とりあえず、ここでアイツは働いているわけだ。 まぁまぁ大きな会社じゃないの。 突然、車のライトが私を照らした。 ま、まぶしい。 私はまぶしくて、アタフタしていると、 「何してんだ、邪魔だ!」 シルバーの軽ワゴン車の窓から、眉を八の字にして睨み付けてくる男にハッとした。 ウゲッ!アイツじゃん! まさかの、まさしく感じの悪い男じゃん! 「おまえは、確か喫茶店の女...」 バレたか。 「何でおまえがここに居るんだ」 男は車から降りて私の方へやって来た。 これはガチで今、言ってやるしかなさそうだな。
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