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私はカバンから、今朝のコースターを差し出して、本人に見せた。
「これ!あなたですよね?一体何なんですか?うちの喫茶店に来て、毎朝マズイって書いて、文句付けて嫌がらせして、酷いじゃないですか!営業妨害ですよ!」
「...あぁ、これね。確かに俺だ」
男は私のコースターを、奪い取って鼻で笑って投げ捨てた。
あっ、ちょっと捨てることないでしょ!
私は拾いざまに、睨み付けた。
男は見下した表情で言った。
「言っとくが俺は客だ。金払ってコーヒー飲んでるんだ。おまえこそ、客にそんな口を叩いていいと思ってんのか?」
何で私がキレられてるんだろう。
「それから、そのマズイは店への苦情じゃない。俺はおまえの嘘臭い笑顔を毎朝見てると,ムシズが走るんだよ。要するに、おまえに対しての個人的な苦情だ」
何言ってんのコイツ!
本当にムカツク奴だね、コイツは!
「あなたにそこまで言われる筋合いは、ないですよ!仕事で笑顔は当たり前でしょ。そんなストーカーみたいなことして、いい年して見苦しいですよ!」
「ストーカー?誰がおまえみたいな女に...アホか」
ムムム、ムカツクこと、この上無し!
さっきから、どんだけ私のことをナメまわしてくれるの、コイツは!
「おまえ、意気込んで俺に文句付けに来たんだな...ガキか」
またしてもバレた!
開き直るしかない。
「そうですよ!それが何か!」
腕組みをして、男は相変わらず見下しながら毒舌を続ける。
「ガキか、いくつのガキだ?ガキがこんな時間にウロつくな」
確かに私は童顔だから、いつも同じ年の世代に年下だと思われて、嫌な思いをしたりもする。
「私はガキじゃない!」
「デカイ声を出すなよ、ガキ」
この、オッサンは!
いい加減にしてよね!
「あなたのその言い方、何様のつもりですか?」
すると、男は一瞬だけ間をあけて私に近寄ってきた。
「へぇ~、なるほどねぇ~…」
男は私の腕を急に強く掴んだ。
「痛い!何すんの!」
やだ!
私はそのまま、電灯の光の当たらない倉庫の裏へと引っ張られ、連れて行かされた。
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