1、喫茶店の女、感じの悪い男

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私はカバンから、今朝のコースターを差し出して、本人に見せた。 「これ!あなたですよね?一体何なんですか?うちの喫茶店に来て、毎朝マズイって書いて、文句付けて嫌がらせして、酷いじゃないですか!営業妨害ですよ!」 「...あぁ、これね。確かに俺だ」 男は私のコースターを、奪い取って鼻で笑って投げ捨てた。 あっ、ちょっと捨てることないでしょ! 私は拾いざまに、睨み付けた。 男は見下した表情で言った。 「言っとくが俺は客だ。金払ってコーヒー飲んでるんだ。おまえこそ、客にそんな口を叩いていいと思ってんのか?」 何で私がキレられてるんだろう。 「それから、そのマズイは店への苦情じゃない。俺はおまえの嘘臭い笑顔を毎朝見てると,ムシズが走るんだよ。要するに、おまえに対しての個人的な苦情だ」 何言ってんのコイツ! 本当にムカツク奴だね、コイツは! 「あなたにそこまで言われる筋合いは、ないですよ!仕事で笑顔は当たり前でしょ。そんなストーカーみたいなことして、いい年して見苦しいですよ!」 「ストーカー?誰がおまえみたいな女に...アホか」 ムムム、ムカツクこと、この上無し! さっきから、どんだけ私のことをナメまわしてくれるの、コイツは! 「おまえ、意気込んで俺に文句付けに来たんだな...ガキか」 またしてもバレた! 開き直るしかない。 「そうですよ!それが何か!」 腕組みをして、男は相変わらず見下しながら毒舌を続ける。 「ガキか、いくつのガキだ?ガキがこんな時間にウロつくな」 確かに私は童顔だから、いつも同じ年の世代に年下だと思われて、嫌な思いをしたりもする。 「私はガキじゃない!」 「デカイ声を出すなよ、ガキ」 この、オッサンは! いい加減にしてよね! 「あなたのその言い方、何様のつもりですか?」 すると、男は一瞬だけ間をあけて私に近寄ってきた。 「へぇ~、なるほどねぇ~…」 男は私の腕を急に強く掴んだ。 「痛い!何すんの!」 やだ! 私はそのまま、電灯の光の当たらない倉庫の裏へと引っ張られ、連れて行かされた。
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