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不死の呪い
フェードアウトで終える舞台劇のように、少しずつ、世界が暗転していった。
鮮血。
フローリングの部屋を覆い尽くすそれは確かに、僕の胸から溢れている。
痛い。
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い。死ぬ程痛い。死にたい程痛い。終わるなら早く終わってくれ。どうか、どうか、頼むから。
胸の鋭い痛みと心臓の奥まで届く異物感は、突き刺さったナイフのせいだ。
瞬間的に世界が揺れる。
違う。揺れたのは僕だ。
痛みに耐え切れず、身体が痙攣しているんだ。
全身から脈を感じる。
鼓動が速度を上げていく。
溢れ出す血の量が減り、寒気を感じた。
近づいているのか。
終わりが……、最期の時が……。
……いや、そうじゃない。
これは、失血による死の予兆じゃない。
――再生を、始めたんだ。
暗転しかけた世界は徐々に光を取り戻し、痛みは消えていく。
嫌だ。
やめてくれ。
もう、やめてくれ。
僕は――
――あと何回死ねば、死ねるんだ。
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