望まぬ空

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現在、フェンリルオーレリア支部は、旧オーレリア連邦共和国首都グリスウォールに出現したアラガミの大規模発生温床により、辺りには接触禁忌レベルのアラガミが大量に飛び交い他のフェンリル支部との通信手段を遥か上空まで遮断されていた。 突如として太平洋沖より現れたアラガミが、かつて自由と平和の象徴とされたガイアスタワーの大規模な哺食を開始して以来ガイアスタワーは異形を成し、アラガミの発生源、通称「エッグ」となりオーレリアを孤立させるに至ったのだ。 その影響により、アラガミへの唯一の対抗手段である神機開発において近接式神機の開発が大幅に遅延。完成していたピストル型神機、遠距離式神機から旧オーレリア連邦共和国の高い技術力により、神機は独自の進化を辿って行った。 外部と連絡が取れないために物資の援助をする必要がなく、元から資源が豊富な事もあり当時他の支部で運用されていた神機と比較しても非常に強力な神機を開発していたのだ。 現在オーレリア支部で運用されている神機は、ピストル型神機を元に開発された機銃型神機と改良した遠距離式神機を搭載する「空戦型機動式神機」なる物であった。 航空機の体を成すその神機は装甲に対アラガミ装甲を採用。体内でミサイルを生成する能力を持つアラガミ、クアドリガ種やレーザーを操るサリエル種を元に研究開発したミサイル(GEMS)やレーザー(TGLS)を搭載する。 なお偵察機にはそれら武装は搭載されてはいない。代わりに高性能な通信機を装備し、支部にアラガミの情報を送るのが仕事だ。 たいていは、命に代えて。 コウジ 「どうなってやがんだ! クソッ!!」 たった一機、アラガミ偵察仕様に改造したPhantom Ⅱを操って、"女王"から逃げ惑う男の口からこぼれ落ちた言の葉のカケラ。 地上を闊歩するアラガミ「ヴァジュラ」を捕捉し、GE(ゴッドイーター)部隊に報告しつつ分析観察に入ろうとした直後、後ろに続いていた元オーレリア連邦空軍の熟練パイロット"ガーネル・ジユウ"と第10偵察隊が発掘した新人偵察兵"如月ユウ"の駆るコールサイン『X1』『X3』二機をロストしたのだ。
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