青い雲 白い空

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 思い出しては懐かしく思えるほど昔の事ではないのだけれど、目が醒めたときに泣いていていたのは、同棲している彼氏に顔面パンチされたからと言うわけでもない。  彼氏は私が気を失っているうちに、財布を取ってパチンコにでも出かけたらしく、部屋の中にはいなかった。  ため息をつきながら鏡を手に取り見てみると、右の瞼が腫れ上がり、目が完全に塞がっていた。  ちなみに口の左端が切れているのは二日ほど前に蹴られた時のものであり、今回の喧嘩には関係ない。  喧嘩のほとんどは彼氏が働かない事に原因し、私に金をせびっては、断ると暴力を振るう日々である。    彼氏とはこの街で暮らすようになって始めて勤めたアルバイト先で知り合った。  私はそんなに彼氏に気があったわけではなかったのだけど、いつの頃からか部屋に居座るようになり、自分の部屋を解約して本格的に住み着いたのは一年前の事だった。
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