青い雲 白い空

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  一緒に住んでいるうちに情も移ってしまったのか、それとも他に知り合いなどはいないこの街の孤独に耐えきれなかったのか、彼氏が働くなって私が生活費の面倒を見るようになっていたのだ。  しかし、アルバイト生活でそれがいつまでも続くわけもなく、私が彼に働くように頼み始めてから、彼の暴力が酷くなっていった。  少しでも稼ぎの良い働き先を求めて性風俗店で働くようになったのは先月からの事だったのだけど、稼げば稼いだだけパチンコにつぎ込む彼氏のために、我が家の家計はもうどうにもならないくらい火の車というやつだった。  晴れ上がった顔では店に出る事も出来ないなと途方に暮れながら窓の外に目をやると、春だというのに肌寒く、空を覆う白い雲がさらに私の心を曇らせる。  そんな白い空の中を、どこからか飛ばされてきた桜の花びらが逃げ出してきた故郷で見た降りしきる雪のように見えて、何のためにここまでやってきたのかと思って涙が出た。  
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