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立派な角を有した牡鹿が悠然と草を食べている。 何者かの気配を感じたのか顔を上げて辺りを見渡す。 そんな牡鹿の首から突如血が迸る。 自分に起こったことを理解しないまま牡鹿は力尽き、ドサリと地に横たわる。 その牡鹿から30m程離れた茂みから何かが姿を現す。 「ふぅ…うまくいったな。」 達也であった。 初めてこの地に来たときから数ヶ月経った彼の服装は毛皮で作られた物に変わっていた。 俺もこの生活に慣れたなぁ…。 その場で手際よく牡鹿を解体しながら達也はふとそう思う。 最初の頃には手間取っていた狩りや解体作業にも慣れ、今では生活の一部となっていた。 「ほんと、人間の順応性ってすげぇわ。」 切り分けた肉類を氷系の魔術で氷漬けにして土系の魔術で地面を波うたせて運ぶ。 今でこそさっとできるけど、あの頃は一々集中して術式を組まないといけなかったんだよなぁ。 自分の成長に感動しつつ達也はツリーハウスに向かう。 「今日はご馳走だな!」 久しぶりの大物だし。 機嫌よく達也は森の中を歩いていた。
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