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それから5つほどの果物を食べると達也の腹は満たされた。
また身体が軽く、体調が良いような気もする。
「不思議な果物だよな。」
疲労回復の効果でもあるんかね?
改めて巨木を眺めていると真ん中より下あたりに達也が食べた果物と違う赤色の果物がなっている。
「もしや、あれが熟したやつか?」
さっきのが未熟の果実なら味がないのは納得できるな。
気になった達也は足元の小石を拾い上げ、見つけた果物へ投げてみる。
小石は放物線を描き、果物には当たらずにポスッと木の葉のなかに入る。
それから何度か小石を投げると、ようやく狙った果物を落とすことに成功した。
流石に小説みたいに上手くはいかないか。
そう考えながら果物を口に運ぶと、ふいに気がついた。
小…説…。
そう思うのと達也が果物をかじるのはほぼ同時だった。
「―――ぁ…ぐぅ…!?」
突如頭に凄まじい痛みが走り、達也は声にならない悲鳴をあげる。
数分の間頭が砕かれるような痛みに耐え、漸く痛みが引いた。
「はぁ…はぁ…っ!」
痛ってぇ…。
再び達也は巨木にもたれ掛かった。
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