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くっそ…頭がガンガンしやがる…。
治まってきたとは言え、まだかなり痛いらしく達也の表情は険しい。
それにしても、
「何というか変な感じ…。」
頭に残る違和感に眉をひそめる達也だが、それには理由がある。
さっきの果物を食べた後の頭痛と共に何かが頭の中に入り込んでくる不快感を感じていた。
それはこの場所―――この世界の情報や歴史、そして魔術の知識。
それは達也のいた地球では非科学的とされほとんど信じられない技術。
「あり得ないだろ…。」
当然ながら信じられない達也はある実験を試みる。
それは実際に魔術を使うことが出来るか否か。
右の掌を前につき出して知識の中から魔術を選び、術式を構築し始める。
すると右手に身体中から果物を食べたときに感じた温かな何かが集まって来るような感覚。
まさかな…。
かなり嫌な予感を感じつつ、術式を完成させると達也の右手から氷の礫が射出され、目の前の木にぶつかり砕け散る。
「―――嘘だろ。」
手をつき出したままの格好のまま固まる達也だが、目の前の捲れた樹皮が現実を突きつけてくる。
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