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自分の右手に視線を向けしばらく無言でいたが急に右手を握り、立ち上がる。 「うだうだ考えても仕方ねーよな!」 内心、不安で一杯の達也なのだが己を鼓舞しこれからの事を考えることにする。 ここが俺のいた地球と違う場所って事はさっきのからほぼ間違いないだろう。 また、先程食べた果物から魔力を得た事が知識からわかった。 色々と問題もあるが、まずは拠点を探すことから始めないと。 ここで達也が近くの村を探さずに拠点を見つけようとしたのには彼の考えていた問題が関わってくる。 なぜならここ《ランベルト》には人間という種族は存在しない。 ただワーウルフやケンタウロスなどの獣人、悪魔やヴァンパイアなどの魔人、竜人などといった人間に近い種族なら存在する。 知識はあり達也に優しく害の無い種族もわかるとは言え、まだそういった空想上生物達と会う程の勇気がないのだ。 もし仮に何かあった場合の自衛手段が覚えたての魔術だけでは少々心許ない。 なのでしばらくの間はこの森で暮らし、魔術を使いこなす事ができるようにしたのだ。 サバイバル経験の無い現代っ子の達也がその身ひとつでこの森で生きていけるかどうかも不安であるが。
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