さいかい

11/22
前へ
/139ページ
次へ
「あ!そうだ!宗ちゃんってどうしてます?宗ちゃんも3月ぐらいまでは良くきてたのに・・・」 「あー、あいつか。 あいつは今警察官だ」 「え・・・えぇぇぇぇ!?」 そ、宗ちゃんが警察官!? 「って、言ってもまだ卵だがな。 今年から警察学校に行ってるよ。 全寮制だからしばらくはこっちにこれないだろうな」 「そうなんだ・・・ちょっと意外かも」 宗ちゃんが警察官を目指しているなんて・・・あ、でも警察官の制服着てる姿を想像したら、ちょっと良いかも♪ 「お!珍しいな!」 私は宗ちゃんの警察官姿を妄想している間に、いつの間にかbarに人が入ってきていたらしい。 私はカウンター席から顔だけ振り向いて、入ってきた人物を確認する。 「どーも」 軽く頭を下げて挨拶しているその姿は、タカだった。 「タカ!やっぱり来てくれたんだ♪」 嬉しくてカウンター席から飛び降りてかけよる私。 そんな私をひょいっと避けるタカ。 ・・・なにげにひどい。 「別にお前の為に来たわけじゃねーよ。気が向いただけだし」 タカはぶっきらぼうにそう言うと、私の横をすりぬけてカウンター席に座る。 「素直じゃないなーお前も」 にやにや笑いながらマスターはタカの目の前にコークハイ用のコーラを置いた。 「ちげーし」 私からはそっぽを向いた形な為、タカの表情は見えなかった。 「ひどいよタカ、せっかく久しぶりに会ったのに。 まあ、今日学校で会ったけど」 私はタカの隣の席に座って話しかける。 「お前、あんま学校では話しかけんなよ。目立つだろ」 「そんな事言ったって、学校以外で話できる機会なんて無かったじゃん」 むうっと膨れる私。 「・・・今度からは、もうちょっとここに顔出すからさ。 だから学校ではあんま話しかけんな」 「わかった。”あんま”話しかけないようにする」 あんまりを強調して頷く私。 たまになら話しかけて良いって事に解釈しました。 「ところでタカ、風邪ひいてる? なんか声変だよ?」 「あー違う。これは・・・」 「声変わりだろ?」 タカの言葉をマスターが遮って答えた。 「ええ!?声がわり!?タカが!?」 「・・・お前失礼だな、ほんと」 さすがのタカも腹が立ったのか、眉間にしわをよせている。 「ご、ごめんごめん。いや、なんかまだ小学生気分がぬけなくて」 私は慌てて謝った。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加