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「おー明日香ちゃん、久しぶり」
barに入った私にマスターがグラスを拭く手をとめて挨拶してくれた。
「お久しぶりです!あ、えっともうオープンしますか?」
「いや、まだだからゆっくりしてきな」
そう言ってマスターは冷蔵庫から、お酒を割る用のオレンジジュースをとりだしてコップにそそぐ。
そしてカウンター席に座った私にそのコップを差し出した。
「ありがとうございます」
走ってきて喉が渇いている私は遠慮なくオレンジジュースをもらう。
「そういえば、高梁って友達いたろ?」
「え、あ、はい。高梁さんがどうかしたんですか?」
「いや、そいつ俺が登録しているSNSの友達の一人だった」
「ええ!?そうなんですか!?」
「ああ。そいつの書く日記が面白くてよく読んでいたんだが、
この間、明日香ちゃん達の事ぽい話を書いててな。
聞いてみたら高梁だって名乗った」
「へー。世間って意外と狭いんですね」
「だろ。っで、今日の日記には高校受験のために塾に通い出したらしい。
おまけにあの前髪をバッサリ切って、さわやか系になったんだとよ」
あの高梁さんがさわやか系・・・。
駄目だ想像がつかない。
そもそもいつも前髪で顔が隠れていたから素顔がどんなかも全くわからないや。
「あ、あとそうだ。この間スバルがきたぞ」
一気飲みして空になった私のコップにおかわりを注ぎながらマスターは次の話題へとかえる。
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