笑顔の裏には

2/51
前へ
/258ページ
次へ
* 普通の人では到底入れない高級料亭。 ここの個室に、二人の男が来店していた。 「ふむ。いつ来ても美味だね」 一人目の男が野菜の天ぷらを口に含み、租借した後に感想を口にする。 「当然だろう。私の息がかかった店だ。手抜きなどさせんよ」 対してもう一人の男は変わらぬ顔で刺身を口へと運ぶ。 「ところで、例の件はどこまで進んでいる?」 刺身を食べ終えた二人目の男が、本題に入った。 すると、天ぷらを味わっていた一人目の男が箸を置いた。 「ああ、順調だよ。仕上げは数日後、と言ったところかな」 「そうか。なら仕上げは任せたまえ」 二人目の男は相手の答えに静かに満足し、小さく笑った。 だがすぐに表情を戻し、ゆっくりを口を開いた。 「……では、互いに気を抜かぬよう。最後までな」 「わかっている」 一人目の男は強く了承の意を示すと、再び箸を持ち始めるのだった。
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加