笑顔の裏には

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「まずは現場を抑えるんだ。新原先生が杏花家の息がかかってそうな生徒をピックアップしてくれている。君たちはその生徒が噂を吹聴している瞬間を押さえて、証言を得るのだ。そうすれば杏花家も知らぬふりは出来ないハズだ」 理事長が具体的な方法の説明をしてくれる。 どうやら先導に立てはしないけど、裏方のバックアップは全力でやってくれるみたいだ。これは心強いね。 「ピックアップしたリストは資料として用意しておきましたよ」 そしてミヨちゃんが足元に置いていた黒い鞄から紙を取り出して、ボクに手渡してきた。 ボクが受け取ると同時に「これは今回の件以外で悪用しちゃダメですよ? 私も理事長も、貴方たちを信用して渡してるんですからね」と念押ししてきた。 うん、ちゃんと分かってるよ。 ボクがそう思いつつ、頷くのとほぼ同時にチャイムが理事長室内に響き渡った。 お昼休み終了の合図であり、午後の授業開始5分前の印でもある。 「さて、話すことも伝えられた。わざわざ昼休みに悪かったね。午後の勉学も頑張ってくれ」 「では皆さん、行きましょうか」 理事長が話を終わらせ、ミヨちゃんが先に出口の扉を開けてボクたちを手で促す。 ボクたちもそれに素直に従って、ソファーから立ち上がって(ボク以外が)理事長に会釈してから歩いて行った。 ミヨちゃんの後ろを歩いてく廊下で、ボクはずっと考えていた。 杏花家がボクたちの妨害をしているという話。 やっぱりそれはクィンに聞くべきだろうな、と。
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