笑顔の裏には

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その後はそれぞれの教室に戻って午後の授業を受けたわけなんだけれど、 「で、あるからして──」 「……」 ボクの頭の中には先生が語る内容の一切が頭に入ってこなかった。 サキの時もそうだけど、どうにも考え込んじゃうクセがあるなあボク……。 ナノコの方に視線を向けると、きちんと板書はしていたけれど時々手が止まって何かを考えているようだった。 やっぱりナノコもナノコで気が気じゃないんだろうね。 ………………。 考えごとのお陰であっさりと放課後になった。 これから、ミヨちゃんから貰ったリストに載ってる生徒を監視して、現場を押さえるってのを始めるわけなんだけれど……。 「ティル、行こ」 ナノコがボクの座ってる席の前に立ち、促してきた。 ボクは立ち上がるとナノコに告げた。 「このリストはナノコに渡すね。ボクは別のアテに当たってみるよ」 「え? ちょ、ちょっとティル!?」 リストの紙をナノコに渡すと、ボクはさっさとバッグを肩に担ぐと教室を出ていった。 背後でナノコが「何するつもりなの!?」と聞いてくるので、ボクは一度立ち止まり顔だけ横に向けて告げた。 「クィンに会ってくる」
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