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私たち3人は校舎影の人気のほとんどない場所で話している二人組を監視していた。
一人は運動シャツと短パンを着ている男の子。
恰好から察するに、部活動の休憩途中で話しかけられたんじゃないかな?
もう一人は制服姿の女の子。黒い髪を後ろで結わえた俗に言うポニーテールってやつだね。
いかにも噂好きって雰囲気をしている。育ちは良さそうだけれど。
彼女こそが新原先生のリストに載っていた人物なの。
「んもう! ティルってばこんな時に単独行動なんて考えられないわ」
私と一緒に覗き込むように2人の男女を眺めている咲さんが文句を口にした。
咲さんと藍さんにもティルがくぃんっていう人と会ってくると言って制止も聞かずに行ってしまったことは話しておいてある。
「きっとティルくんは私たちを信頼してるんだよ~」
対して藍さんはお気楽な発言をする。
まあ、確かにその通りなのかもしれないけど……。
私が少し考えに耽ろうとした時だった。
「あっ! ついにデュエル部のことを喋り始めたわ」
咲さんが慌てて告げつつ、手元にあるボイスレコーダーのスイッチを入れた。
私たちと二人の距離は少し空いているから会話の録音は難しそうだけどね。
そう思いつつ、私も二人の会話を聞き洩らさないように聴覚に意識を集中させた。
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