笑顔の裏には

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* 「やっぱりいないか……」 いつもクィンが通っているという喫茶店に到着したボクだけれど、そこに彼女の姿はなかった。 何となくそんな気はしていたんだ。 もし本当にクィンの仕業なら、この喫茶店には顔を出さない気がしたんだ。 デュエル部の一員であるボクが知ってるところだから。 だから、後ろから突然声を掛けられた時は本当に驚いた。 「おい、沖川ティル」 「うひゃあ!」 驚きすぎて間抜けな声が出ちゃった。 ボクは慌てて姿勢を正し、振り返る。 そこに立っていたのはガタイの良い黒いスーツにサングラスを掛けた大きな男。 クィンに「アリサワ」と呼ばれてた、ボディーガードだ。 「キミが近くにいるってことは、クィンも傍にいるのかい?」 「お嬢様はここには居ない」 ちょっとだけ期待を感じたけど、クィンはいないのか……。 そう落胆するボクだったけど、アリサワは表情を変えずにボクに命令してきた。 「ここには居ないが、お嬢様がお呼びだ。俺に着いて来い」 「クィンが……?」 どうやらクィンはボクがここを訪れることを読んで、アリサワをこの喫茶店で待機させたみたいだね。 なら、ここに来たのは間違いじゃなかった。 ボクは嬉々として、アリサワの後ろに着いて行った。
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