笑顔の裏には

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目の前に、現在唯一灯されている電灯に照らされている一人の小柄な女性。 それは紛れもなく、ボクをここに呼び出し、そして会いたかった人物──クィンだった。 いつもと変わらない桃色の改造和服を着ていて、小柄に相反した大きなおっぱいが軽く揺れる。 「クィン、どうしてここに呼んだんだい」 普段と変わらない口調で話しかけてみる。 対してクィンの方は怪しい笑みを浮かべている。 「フフッ、回りくどい会話はいりませんわ。ワタクシに単刀直入に聞いたらいかがですか? 「デュエル部の悪い噂を流させたのはクィンなのか」と」 更に確信を突くような発言をしてくる。 ……そしてそれは、ある意味自白をしたと言っていい。 「本当に、キミがしたのかい……?」 「あら、わたくしは質問を変えたらどうでしょうと提案しただけですのに」 恐る恐る問いかけてみると、クィンはシラを切るように笑みを深めてくる。 直後、クィンは笑みを消し、真剣な面持ちへと変わった。 「まあいいですわ。答えは「YES」、わたくしが花嶋学園の生徒に指示をしましたわ」 「どうしてそんなことを? キミのお父さんの命令かい!?」 ボクが彼女の父のことを口にすると、クィンの表情が僅かに歪んだ。 それは一瞬のことだったけど、ボクは見逃さなかった。
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