笑顔の裏には

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すぐに表情を戻したクィンは、再び口元を歪ませた。 「違いますわ。これはわたくし自身の意思。デュエル甲子園へ進むために、有力なライバル出場校を減らそうという考えでの行動ですわ」 「ボクたちが有力……?」 まだ人数も揃えられていないボクたちがどうして有力なライバルとして考えられているのか、理解しきれなかった。 聞き返すような言い方をすると、クィンは脚を組み換え、綺麗な生脚でボクを釘付けにさせながら返答した。 「ええ。ティルさんの学園には、この街最強と言っても過言ではない辰神さんがいらっしゃいます。こないだ坂江咲さんが敗北し、勧誘が難しくなったとは言いましても、可能性はゼロではありませんわ。そしてティルさん、わたくしは貴方を高く評価しているんですわよ?」 「え、ボクが?」 ジンに目を付けていたというのには多いに納得したけれど、今まで全部負けちゃってるボクが評価されてるというのはどういうことだろうか? 「確かにティルさんの戦績は圧倒的に悪い。ですが貴方の成長速度は著しく高いですわ。そう遠くない未来で辰神さんにすら追いつけると、わたくしは確信しています」 そこで一度クィンは言葉を切る。 大きく息を吸い、ボクを見る睨みをより強くした。 まるで、獲物を見つけた蛇のように。 「──ですから、その芽はきちんと潰してあげないと」
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