笑顔の裏には

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「なら始めよう、クィン。どこでデュエルするんだい?」 「ふふっ、ティルさんならそう答えてくれると信じていましたわ。では、着いてきて下さい。デュエルに使う装置はこちらで用意しておきました」 ボクの答えに満足したクィンが座っていた椅子から立ち上がり、カーテンで隠されていた檻の横を通る通路の方へと歩いて行った。 ボクもそれに着いて行き、檻の前を通り過ぎて行った。 その時だった。 「……ん、んんっ」 檻の中から、声が聞こえてきた。 視線を向けると、ナノコが目を覚ましたようだ。 「ナノコ、目が覚めたの!?」 ボクは格子を両手で握り締めながら、ナノコに話しかける。 すると、ナノコだけでなく残り二人も身じろぎを始めた。 「ティ……ティル……?」 まだ覚醒直後で寝ぼけたまま女の子座りをしていたナノコだったけれど、数秒の時間を置くことでようやく状況を呑み込めたみたいだ。 「あ、あれ? な、何で私、檻の中にいるの!? 坂江先輩たちまで……。どういうこと、ティル!!?」 「んー……もしかしてぇ、杏花ちゃんの仕業かなぁ?」 後ろで同様に女の子座りになったアイちゃんが、ぼーっとした頭のまま喋った。 アイちゃんって、普段は天然で能天気って感じなのに案外鋭いなぁ。
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