笑顔の裏には

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「私たち……確か、あの女の子がクィンさんに噂を流すようにお願いされたっていう事実を知って……」 「それで、黒服の男たちに突然口を布で塞がれたのよ……。ったく、絶対後で訴えてやるわ!」 ナノコが呟くと、ようやく体を起こしたサキは苛立ちを隠さず後に続いた。 なるほど、ナノコたちは資料の女の子から裏を取ることに成功したタイミングで黒服──恐らくは杏花家の使いたちに攫われてきたんだ。 しかし対してクィンはクスクスを笑ってくる。 「ええ、坂江藍さんの言う通りですわ。そしてこのタイミングで起きるように調整をしましたの。わたくしたちのデュエルを見物するギャラリーとして、ね」 「ギャラリー、ですって?」 サキがクィンを睨む。 でもクィンはサキを一瞥もせず、奥へと歩き続ける。 「さあ、ティルさん。こちらですわ」 牢を越えた先で、クィンは立ち止まった。 そこはまだ照明に照らされてなくて、よくは見えないけれど何か大きな物があるということしか分からない。 だったのだが数秒後、さっきと同じく突然照明が点いたんだ。 そして判明したクィンの横にある物は、鉄の箱のようなL字型の機械だった。 凹んでいる部分にはモニターと、デュエルモンスターズのフィールドがある。 その機械が二つ。向かい合うように置かれている。 もしかしてこれ、デュエルをするための機械なのかな……?
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