笑顔の裏には

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「杏花家グループに属するカード事業開発部が作り出した、デュエルシミュレーター『ジュ・パルティ』ですわ」 クィンがそう呼んだマシーンを今一度注目する。 丸椅子に座ってデュエルすると思われるL字型の筐体。 一度、ホナミに連れてってもらったゲームセンターという所にあった「かくげー」にそっくりな形をしている。 操作盤の所がデュエルフィールドになっている感じだ。 「これを使ってデュエルをするのかい?」 「ええ、是非」 ボクの問いかけにクィンが頷く。 最新のデュエルが出来るというなら、是非とも使ってみたい。 そう思ったんだけど、直後に横からサキの大声が聞こえてきた。 「ティル駄目よ! あいつが用意したものなんだから、こっちが不利になるような仕掛けをしてるに決まってるわ!!」 確かに、サキの言ったことはごもっともだ。 自分たちを攫ってきた来た相手に、更に疑いを持つ。当然の反応だね。 でもそこでクィンが疑われたことに対してクスクスと笑うだけだ。 「フフフ……そんな心配はいりませんわ。今から行われるデュエルに不正は一切ありません。お疑いをお持ちなら、そこからわたくしの行動を逐一監視すれば宜しいのです」 そう語りつつ、彼女は対面するように置かれた筐体の片方に置いてある丸椅子に座った。 ボクもそれに続いて向かい合った丸椅子へと腰を下ろす。 心配はいらない。今日のクィンはちょっとズルいことばっかりしてるけど、デュエルそのものを陥れるような真似はしてないハズだ。
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