笑顔の裏には

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「攻撃力を上げて迎撃する手段も、これでほぼ不可能ですわね。お陰でハイパーヴェノムカウンターによる勝利も出来なくなってしまいましたが……仕方ありませんわ」 エクストラウィンが出来なくなった事にクィンは少し頬を膨らませながら、バトルフェイズへと移行してきた。 状況が状況だけにいけないと分かっていても、可愛いと思ってしまった。 「そして先に絶望を見せてあげましょう。ここで永続罠《宮廷のしきたり》を発動致します。これで魔法・罠を破壊するカードで《最終突撃命令》を破壊して耐え切る術は無くなりましたわ」 《宮廷のしきたり》 永続罠 このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは「宮廷のしきたり」以外のフィールド上に表側表示で存在する永続罠カードを破壊できない。 「宮廷のしきたり」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。 クィンはこのタイミングで発動しなくてもいい罠カードを敢えて見せつけてきた。 彼女が言った通り、ボクに逆転不可能な状況だと教える為だ。 確かに、この状況は本当に厳しい……。 「さあ《ヴェノミナーガ》、トドメを刺しなさい!」 そして《スターダスト》に向けての攻撃宣言をしてきた。 当然、これが通ればボクのライフは0になる。 《毒蛇神ヴェノミナーガ》 ATK:6000 vs 《閃こう竜 スターダスト》 ATK:2500 「「ティルっ!!」」 攻撃が通り、互いの攻撃力が画面に大きく表示された段階でナノコとサキが揃ってボクの名前を叫んでくれる。 でも大丈夫、まだ負けないよ。 「ダメージ計算時に《ガード・ブロック》を発動! ダメージをドローに変換させてもらう!」 「確かにそれなら《ヴェノミナーガ》の範囲外で戦闘をやり過ごせますわね」 《ガード・ブロック》 通常罠 相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。 このカードで防がれることは予想内だったクィンは、全く様子を変えずに言ってきた。 そんな彼女を見つつもボクはカードを引き、それを確認する。 これは……っ! 「ボクはここで《砂塵の大竜巻》を発動! 《宮廷のしきたり》を破壊させてもらう」 ドローしたカードを見たボクはすぐさま、もう1枚のリバースカードを発動。 今、破壊可能な《しきたり》を打ち抜く。
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