笑顔の裏には

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ついそう考えてしまったけど、心配は無用だったみたい。 「魅力的な提案だけどね。ボクの居場所はデュエル部だって、もう決まってるんだ。だから……勝たせてもらうよ! リバースカード《デビル・コメディアン》を発動っ!!」 「……《デビル・コメディアン》……?」 ティルが発動したカードに、杏花さんは首を傾げた。 古すぎる上にマイナーそうなカードみたいで、杏花さんだけでなく坂江先輩も知らないみたいだった。 「まず表か裏かを宣言し、コイントスを行う。それでボクの宣言と同じ面が出れば、相手───つまりクィンの墓地を全て除外するよ!」 「除外……っ!?」 ティルの説明を聞いた杏花さんが、この日初めての驚愕の表情をした。 そっか! 杏花さんの墓地がなくなれば、《ヴェノミナーガ》の攻撃力は0になるんだ! 杏花さんのライフが0にならなくても、墓地に爬虫類がいなくなれば蘇生効果は使えない。 そうなればティルは勝てる!! 「運に全て賭けようというわけですか……。実力では無理なので、神に全てを委ねようと?」 「……ボクは表を選ぶよ」 杏花さんの問いかけには答えず、ティルは当たりの面を選択した。 つまり、表が出ればティルの勝ち。裏が出たら杏花さんの勝ちって事だよね……。 「じゃあ、コイントス……っ!」 そしてティルは画面を操作して、コイントスをスタートさせた。 画面内でコインがくるくると回る。 お願い出て……表!! 私と坂江先輩は手を組んで必死に祈った。 そしてコインは──「裏」と書かれた面で止まってしまった。 嘘……これじゃあ……っ!! 「ふ……ふふ……ふふふっ」 結果を見た杏花さんは笑っていた。 「残念でしたわね! これでわたくしの勝利! 《ヴァノミナーガ》、《ブラック・パラディン》を返り討ちにしてあげなさい!!」 杏花さんはそう叫びつつ、画面をタッチしようとしたけど、 「《デビル・コメディアン》、外れた時の処理をするよ」 ティルは顔を伏せたまま、そう言って画面を操作し始めた。 「ハァ……なら早くしてくれませんこと? わたくしの勝利は決まったんですから」 勝利宣言が中断された事に少しイライラしつつ、杏花さんは促した。image=501367122.jpg
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