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「…………お待ちになって!!」
決着はついた、そう思ってモニター内に表示されている『《超魔導剣士─ブラック・パラディン》の効果を発動しますか? はい/いいえ』という文字の『はい』を押そうとした時だった。
クィンが突然声を張り上げて、制止してきたんだ。
それに反応して手が止まったボクを見て、クィンは一気に畳み掛けてくる。
「《ブラック・パラディン》の効果を発動するのはお止めなった方が宜しいですわよ……」
「何よアンタッ! 勝てなくなったからって時間稼ぎのつもり!?」
真っ先にサキが反応して、クィンに突っかかってくる。
少し乱暴な言い方ではあるけど、実際何故制止してきたのかは気になる。
するとクィンが衝撃的なことを言ってきた。
「──……今はティルさんのお仲間の命運、わたくしが握っていることを忘れないでください……っ!」
悔しそうな、苦しそうな表情をしながら、そう告げてくるクィン。
それを聞き、自分たちの身の危険を瞬時に察知して身を縮めこませる3人。
当然ボクも心臓にナイフが突きつけられたような感覚に襲われる。
「クィンっ、やめるんだ! 落ち着いて!!」
ボクはクィンの座る向かいの席に駆け寄ろうとしたが、まだデュエルの終わったわけじゃない。
ここで立つことで試合放棄とみなし、ボクを負けさせることが狙いなのか、と思ってしまったボクは立つに立てなくなってしまった。
どうすればいいんだ!
効果を使えばナノコたちが酷い目に遭うかもしれない。
ならボクは……。ボクは……!
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