笑顔の裏には

41/51

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
* 「…………お待ちになって!!」 決着はついた、そう思ってモニター内に表示されている『《超魔導剣士─ブラック・パラディン》の効果を発動しますか? はい/いいえ』という文字の『はい』を押そうとした時だった。 クィンが突然声を張り上げて、制止してきたんだ。 それに反応して手が止まったボクを見て、クィンは一気に畳み掛けてくる。 「《ブラック・パラディン》の効果を発動するのはお止めなった方が宜しいですわよ……」 「何よアンタッ! 勝てなくなったからって時間稼ぎのつもり!?」 真っ先にサキが反応して、クィンに突っかかってくる。 少し乱暴な言い方ではあるけど、実際何故制止してきたのかは気になる。 するとクィンが衝撃的なことを言ってきた。 「──……今はティルさんのお仲間の命運、わたくしが握っていることを忘れないでください……っ!」 悔しそうな、苦しそうな表情をしながら、そう告げてくるクィン。 それを聞き、自分たちの身の危険を瞬時に察知して身を縮めこませる3人。 当然ボクも心臓にナイフが突きつけられたような感覚に襲われる。 「クィンっ、やめるんだ! 落ち着いて!!」 ボクはクィンの座る向かいの席に駆け寄ろうとしたが、まだデュエルの終わったわけじゃない。 ここで立つことで試合放棄とみなし、ボクを負けさせることが狙いなのか、と思ってしまったボクは立つに立てなくなってしまった。 どうすればいいんだ! 効果を使えばナノコたちが酷い目に遭うかもしれない。 ならボクは……。ボクは……!
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加