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「わたくしの……負け、ですわね」
モニターを眺めていたクィンが、脱力しながら呟いた。
そんな彼女の傍に黒いスーツの部下が近寄る。
「お嬢様! 気にすることはありません。こいつら全員の口を塞いでしまえばいいんです。お嬢様が命令すれば私たちはいつでも……っ!」
むしろ拳を強く握り締めている彼が一番いきり立っているように見える。
クィンが許可さえすればすぐに飛びかかってきそうだ。
でもボクは一切心配していなかった。
「いえ、もういいわ。彼女たちを解放してあげなさい」
クィンは嘆息混じりに言ってくれた。
そう命令された部下は、何か反論しようとはしたが、
「……分かりました」
力を入れていた拳を降ろした。
するとあのアリサワが真っ先にナノコたちのいる檻に向かった。
彼はずっとボクの後ろで黙って眺めていたけれど、もしかしてこの展開を最初から分かってたのかな。
ガチャン、と持っていた鍵で檻の一部を開けてくれた。
「あー……やっと出られたわ」
「お尻痛くなちゃったねー」
サキとアイちゃんがまず出てくる。
アイちゃんは相変わらずお気楽みたいだけど、サキは今にでもクィンに噛み付きそうだ。
そして最後にナノコが檻から脱出。
サキを治めつつ、俺に向けて笑ってくれた。
無事で済んで本当に良かったよ。
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