笑顔の裏には

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ボクを含め三対一になってしまったサキは、悔しそうな表情をした後、 「……これじゃアタシが悪者みたいじゃない」 そう溜め息を吐いた。 けどそこでクィンが首を横に振った。 「いえ、坂江咲さんは何も間違っていませんわ。悪いのはわたくし。ティルさんや沖川さん、藍さんが優しすぎるだけですから」 そう言って苦笑した後、クィンは再びボクを見た。 「では行きますわ。ティルさん、お礼はまた今度致します」 「うん。クィンが落ち着いたら、いつもの喫茶店で会おう」 クィンが手を振ったのでボクも振り返す。 手を降ろした彼女はアリサワに何かを告げてから、彼を置いて倉庫から出て行った。 「行きで乗った車に乗れ。全員送らせてもらう」 アリサワがボクにそう言ってくれた。 まあここまでは距離があったから、助かるよ。 「ジンも一緒に……って、あれ?」 ジンにも助けてもらったし、一緒に車に乗る誘いをかけようとしたんだけど、 彼が居たハズの檻の前を見たけど姿はなかった。 倉庫内全体を改めて見直すけど、ジンは見つからなかった。 「辰神陣なら心配いらないだろう。彼は元々一人で来た。別の移動手段を用意しておいてあるハズだ」 「それもそっか……」 アリサワの説明にボクも納得、落胆した。 デュエル部に誘えないとしても、彼と仲良くなるいい機会だと思ったんだけどなぁ。
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