一縷の望みを懸けて

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………………。 杏花クィンとティルのデュエル。 俺は倉庫の二階部分に潜み、それを眺めていた。 「魅力的な提案だけどね。ボクの居場所はデュエル部だって、もう決まってるんだ。だから……勝たせてもらうよ! リバースカード《デビル・コメディアン》を発動っ!!」 ティルがここで勝負を決定づけるリバースカードを発動させる。 他のギャラリーどもは、この時点では分かっていなかったようだが、 「ふっ、やるじゃないか」 俺はカードを見た瞬間に、ティルの勝利を確信した。 結果、コイントスは外れてティルはデッキの全てを墓地へ送った。 そこでようやくクィンを含めた外野が意味に気付く。 「デッキが全部墓地に行ったってことは、ティルのデッキにあるドラゴンが墓地に……!」 「ティ、ティルさん、貴方ここまで考えて!!」 「ボクのデッキにあるドラゴンは16枚。つまり攻撃力は8000ポイントアップ!」 当たりでも外れでも勝ちが確定。 その状況を作り出し、《ヴェノミナーガ》を遥かに超える攻撃力を手に入れる。 「嘘……嘘ですわ! こんな形でわたくしが負けるなんて!! あり得ません! 速攻魔法、《ハーフ・シャット》!」 「無駄だよ、《ブラック・パラディン》の能力で手札を捨てて発動を無効にして破壊できるからね!」 ティルの成長速度は、俺の想像以上だった。 こいつなら…………。 面白い。
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